西洋医学で冷えは、ただの冷えやすい性質で病気と言えるものではないと考えられていなす。しかし東洋医学では、冷えは万病の元となる未病、つまり病気の一歩手前の段階と重要視されます。実際、冷えが免疫の低下につがることが立証されており、免疫細胞が正常に働くには平熱と言われる36.5°の体温が必要です。体温が下がれば下がるほど免疫細胞の働きは低下し、免疫力が低下することが確認されています。
体温が1度下がると免疫力は通常の30%に低下し、さらに体温が35度台に入るとがん細胞が活発に動くことが確認されています。細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞は免疫を司るリンパ球に含まれているため、体温が低いとがん細胞は元気になるし、がん細胞を攻撃する免疫の働きは鈍ります。
冷えは、現代人がかかる病気はほとんどが冷えから来ると主張する医師もいるほどで、冷えると血行が悪くなり、血液はドロドロ、頭痛やお通じの不調内臓の疲れも目立つようになります。つまり冷えは、血液が届かず栄養が不足し、細胞が機能できないほど弱っているサインであると言えます。
冷え症の原因
栄養不足
ご飯を食べたら消化・吸収され、その吸収された栄養素の一部が熱になって消費されることを食事誘発性熱産生と言います。食事量が減ると体が作り出す熱エネルギーも減ってしまい、熱エネルギーが減れば体も冷えてしまいます。
血行不良
血液は酸素や栄養を全身に運んでいますが、それと一緒に体内で作った熱も運んでいます。つまり血流が悪いと特に手足が冷えやすくなります。
筋肉量の減少
寒いと体がぶるっと震えるのは、シバリングと言われる生理現象です。シバリングは筋肉を収縮させて熱を生み出そうとする体温調節行動です。つまり筋肉はエネルギーを使って熱を生み出しており、筋肉が減れば、その分熱を作り出す量も減るってことになります。
自律神経の乱れ
自律神経は交感神経と副交感神経の2つから成り立っており、心拍、呼吸、消化、代謝、体温調節など生命維持に必要な多くの基本的な機能をコントロールしています。他にも血管の収縮や拡張もコントロールしており、自律神経の乱れは血行不良を招くことになります。
自律神経の乱れで影響するのが、ストレスとホルモンバランスの乱れです。ホルモンバランスの乱れは、特に更年期を迎える男女に現れやすく、更年期になると性ホルモンが減少し、自立神経も乱れやすくなるため、40代後半は冷え症になりやすく、体の不調を抱えやすくなります。
現代人は冷えに悩む人が増加しており、特に女性は約8割の人が冷え症だと言われています。体が冷える要因は気温の低さだけではなく、現代人を悩ます冷えの背景にはストレスフルな生活や不規則な生活習慣、食生活が関係しています。さらに近年では痩せていることが美徳とされ、ダイエットをする人も多くなり、無理な食事制限も冷えを加速させます。
特に40代になるとより一層冷え やすくなります。40代は、肉体的にも精神的にも負荷が多く、ストレスを感じながら忙しく過ごす世代です。そして自立神経が乱れやすくなり、冷えに関係する血行は、自律神経によって調整されています。つまり自律神経が乱れると血行が乱れて冷えの症状が出やすくなります。さらに女性は40代を過ぎると女性ホルモンの量が減ってホルモンバランスが変化する更年期が始まる人もおり、余計に自立神経が乱れやすくなります。